はじめに
「聴く力」は、学習能力・対人関係・創造力を高める重要なスキルです。
子どもの成長を支える「聴く力」とはいったい何なのかを解説していきます。また、音楽を活用した「聴く力」の育み方にも触れていきます。
「聴く力」について正しく理解し、子どもの集中力・読解力・共感力を高め、学びを深める環境作りの参考にしてみてください。
聴く力とは何か?
「聴く力」とは、単に音を耳に入れるだけでなく、相手の話に深く集中することで、意味や感情を正確に理解し、受け取める能力です。グローバル化が進む現代社会において、さまざまな文化背景や価値観を持つ人々とのコミュニケーションが求められる中で、この「聴く力」は非常に重要なスキルとなっています。単なる受動的な聴取ではなく、相手の言葉の裏にある意図や感情を読み取り、適切に反応することで、より良い人間関係や効果的な学習が実現されると考えられます。
日常生活や学習における「聴く力」の重要性
日常生活や学校、職場など、あらゆるコミュニケーションの場面で、相手の話を注意深く聴くことはとても重要です。相手から受け取った情報を正確に受け取り、理解することで、適切な判断、行動、応対が可能になり、円滑なコミュニケーションを形成する上でとても重要です。また、聴く力は、授業や会議、ディスカッションなどでの理解度や発言の質を高めるための基盤ともなります。実際、集中して聴く訓練を積んだ子どもたちは、学習意欲や成果において顕著な向上が見られるという研究結果も報告されています。
[参考文献]
https://www.nature.com/articles/nrn2882
具体的な効果としては、
- コミュニケーション能力の向上
- 人間関係の構築と社会生活の円滑化
- 集中力、読解力、共感力、論理的思考力、想像力の強化
- 学習能力の向上
- プレゼンテーション能力の向上
- などが挙げられ、教育現場でも「聴く力」の重要性が広く認識されています。
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「聞く」と「聴く」の違い
受動的に「聞く」と能動的に「聴く」
日本語において「聞く」と「聴く」はどちらも「きく」と読みますが、その意味合いには大きな違いがあります。
-
「聞く」:
環境音やBGM、または偶然耳に入る音など、受動的な行為を意味します。例えば、カフェで流れる音楽や通りすがりの会話などがこれに当たります。 -
「聴く」:
意識的に耳を傾け、内容を正確に理解しようとする能動的な行為です。コンサートや講義、重要な会話の際に用いられる表現です。
また、「聞く」には質問をする意味も含まれるため、文脈によっては使い分けが必要です。
この違いは、日常生活だけでなく教育現場やビジネスシーンでも非常に重要なポイントとなります。
スポーツチームの現場での「聴く力」
スポーツチームの練習や試合の現場でも、「聴く力」は個人能力の成長度合いを左右する重要な要素となります。 たとえば、コーチが説明をしている間、「コーチの目を見て話を『聴く』選手」と「遠くをみたり、目線をあちこち動かして話を『聞く』選手」がいます。
コーチの指示を注意深く「聴く」選手は、わずかな説明で何をすべきかを瞬時に理解し、実践に移すことができます。一方、指示を受動的に「聞く」だけの選手は、同じ説明を何度も求めることが多く、理解から実践に移すまでに時間がかかり、結果として成長速度に大きな差が生じます。このように、聴く力がいかに迅速な判断力や実行力につながり、能力の成長速度に関係しているかを示しています。
聴く力が育む基礎能力
「聴く力」は、言語能力の発達だけでなく、全体的な認知能力の向上にも寄与します。 ある論文によると、音楽を通して注意深く聴く訓練を受けた子どもは、言語理解や記憶力、集中力が向上することが示されています。
注意力や音の識別能力が、語彙力、読解力そして論理的思考力を高める要因となるためです。
注意深く聴くことで正確な情報を得ることができます。そして、相手から得た情報を整理し、理解することで、相手の話を正確に受け止めることができます。
また、注意深く聴くことは、相手の感情や意図を理解する能力向上にもつながります。
社会生活の上で必要不可欠な対人関係において、信頼関係を構築し、円滑で豊かな人間関係を形成するために必要な能力です。
[参考文献]
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3444167/
「聴く力」の育み方
親子間や家庭内でのコミュニケーション
子どもが健全に成長するためには、家庭内でのコミュニケーションが重要です。
親が子どもの話をしっかりと聴く姿勢を示すことで、子どもは自分の意見や感情を表現する自信を持つようになります。絵本の読み聞かせや親子での対話を通じて、子どもは自然と「聴く力」を養うことができ、将来的な学習や社会生活において大きな武器となります。
また、「聴く力」を育む方法として取り上げられる代表的なものとして「音楽」があります。
「音楽」で育む「聴く力」
音楽は、感情に直接働きかける力を持っています。
好きな音楽を聴いたとき、リズムに合わせて自然と体が動くように、音楽は人間の感情や注意力を刺激します。楽しい気分にしてくれます。さらに、音楽教育が言語のリズム感や発音、さらには記憶力に良い影響を与えるという研究結果もあり、楽しみながら基礎能力の向上に貢献してくれる、ぜひご家庭に取り入れていただきたい方法です。
また、音楽には、単なる言葉以上に複雑な「楽音」が存在します。 楽音とは、音楽の素材になる音の高さがわかる音のことを指します。この楽音には、音の高さ、音色、響き、旋律といった多様な要素を含み、単純な音の受動的な聴取だけではなく、音の響きを感じ取り、分析する能動的な聴取が求められます。こうしたプロセスは、子どもの感受性や創造性を高めるとともに、集中力や論理的思考力の向上にも寄与します。
音楽教育の現場で実施される「ソルフェージュ」
音楽教育の現場で実施される学習プログラムの中には「ソルフェージュ」と呼ばれるものがあります。11世紀のヨーロッパで発明されたことが起源とされており、楽譜の読み、書きを中心とした基礎訓練です。
ソルフェージュは大きく、以下の3つの要素に分類されます。
- 読譜(読む力):楽譜を正確に読み解く力を養う。
- 聴音(聴く力・書く力):聴いた音を正確に楽譜に書き起こす力。
- 理論(分析する力):音楽の構造や理論を理解し、分析する力。
ここでは特に「聴音」、すなわち聴こえた音を正確に把握する部分に注目します。
(楽譜に書き起こす力は聴く力とは別の能力のため、ここでは触れないこととします)
聴音(聴く力)の定義
音楽における「聴く力」は、単に音を聴くだけでなく、聴こえた「音を頭の中で想起し、再現する」能力です。聴こえた音を頭の中で想起する、頭の中で自由に音を想起することができる。そして、想起した音を声などでアウトプットするなど、音を再現することができる力のことを指します。
余談ですが、聴音の聴く力が身に付くことは、聴こえた音の識別ができることを意味します。音の識別ができれば、音の出力ができます。音の出力に楽器を使えば、楽譜がなくても聴こえた音を楽器で演奏することが容易になります。基本的な楽器の操作方法を知る必要はありますが、楽譜がなければ演奏できない、ということにはなりません。いわゆる耳コピ演奏ができるようになります。楽器ではなくても、自分の声を楽器とすれば、歌が上手くなります。
この「音を頭の中で想起し、再現する」能力は、幼児が親の言葉を真似て自然に言語を習得する過程に類似しています。ただし、言語習得では主に左脳の言語領域が活発に働くのに対し、楽音の認識や再現では右脳をはじめとする複数の脳領域が連携して働くため、認知的処理には違いがあります。こうした共通点と相違点を理解することは、音楽教育の効果をさらに深めるために重要です。
言語を習得するように音を聴く
未就学児は、親の話す言葉を聴き(インプット)、自然に模倣(アウトプット)することで言語を習得します。このプロセスは、インプットとアウトプットの反復によって行われ、無意識のうちに単語を記憶し、文法や発音が身についていきます。音楽においても同様に、耳から流れ込む楽音を繰り返し聴き取り、同じ音を自分で出してみることで、音楽的な感覚や記憶が強化されます。さらに、音楽教育は言語のリズム感や発音に良い影響を与えることが多く、両者は相互に補完し合う関係にあると言えます。
今すぐ始める「聴く力」のトレーニング
楽器が弾けない、どんな音楽を使えばよいかわからない。音楽をあつかった聴く力のトレーニングといっても分からないことだらけだと思います。楽器の演奏技術を習得するには多大な努力が必要ですが、初歩的な聴く力を養うためには、まずはシンプルな教材から始めることが有効です。
そこでおすすめなのが「童謡」です。童謡はシンプルで覚えやすいメロディ構成を持ち、子どもが楽しく聴き取りやすい特徴があります。具体的なトレーニング方法として、童謡の旋律を聴きながら「ドレミ…」と音の名前を口ずさむことを繰り返すことで、基礎的な聴く力が鍛えられます。この聴く、歌うというプロセスを通じて、音を正確に認識し、再現する能力が自然に身につくのです。
YouTubeなどで紹介されている童謡のお歌動画では、童謡の歌詞で歌うものが多いのですが、「聴く力」を育むには、歌詞ではなく旋律を「ドレミ」という音の名前で歌っているものをおすすめします。
「楽しい」が生み出す継続のモチベーション
「童謡を聴いて歌う」こと自体は楽しいのですが、やはり同じことの繰り返しは飽きが出てきてしまいます。同じ作業の繰り返しは、特に子どもにとっては単調で苦痛に感じられる可能性があります。 そこで、お子様が「楽しい」と感じられる環境作りをいかに整えるか、という点が重要で、トレーニングの中に遊びや新たな刺激を取り入れていくことが有効と考えます。
たとえば、単に歌うだけでなく、ダンスを取り入れたり、打楽器でリズムを作ったりすることで、子どもは「楽しい」と感じながら自然と学習に取り組むようになります。こうした多様なアプローチは、集中力の持続や学習意欲の向上に大いに寄与すると考えられます。
いつでも音楽に触れられる環境作り
家庭内で常に音楽に触れる環境を整えることは、「聴く力」を育む上で非常に大切です。音楽一家であれば自然と日常生活の中で楽器や楽音に触れる機会が多いのですが、一般家庭では一工夫が必要です。たとえば、親がYouTubeで厳選した曲を流す、童謡CDを活用する、さらにはダンス動画と組み合わせて視聴するなど、さまざまな方法で子どもが楽音に日常的に触れられる環境を作ることが求められます。
しかし、音楽に携わったことのないご家庭にとっては、音楽に対する知識が未熟であるため、「どんな音楽が子どもの成長につながるのかよく分からない」という状態に陥ります。楽器にいつでも触れられるようにと楽器玩具を購入しても、ゲームボタンの如くランダムにタッチして、ランダムに音が出るという状態が良いのか悪いのか判断に困ります。これは大きな負担となりえます。
聴く、歌うだけじゃない、ラタトーンで育む「聴く力」
知育楽器「ラタトーン」は、 「音楽って楽しい」を再設計し、音楽の新しい楽しみ方を提案しています。
音を聴いて歌う、だけでなく、小さなお子様でも自分の手で音楽を演奏することができるので、自発的に「音を集中して聴く」環境を提供します。従来の楽器教育のように高度な演奏訓練や専門家の介在を必要としないので、お子様一人で直感的に楽しく音を奏でる環境づくりが可能です。
【ラタトーンの特徴と効果】
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即時フィードバック:
専用楽譜「ラタノーツ」をタッチするだけで、瞬時に音が再現されるため、子どもは自分のタッチとその結果を即座に確認でき、学習効果が格段に向上します。
- 専用紙面「ラタノーツ」をタッチするだけで、メロディを奏でることができます。音楽の構造が目で見てわかります。
- 色音符を採用し、音と色を視覚的に結びつけることで、音楽の特徴や背景を理解しやすくしています。
- 和音(コード)もタッチ一つで演奏できるため、複雑な演奏技術が不要です。
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従来の楽器との比較:
一般的な楽器は、音を探し出し再現するまでに時間がかかり、集中力を欠く恐れがあります。ラタトーンは聴きたい音、知りたい音を即座に聴くことができるので集中力を阻害しません。
ラタトーン音楽ワークショップでは、子どもたちだけでなく、大人の方にとっても音楽の理解が進み音楽の楽しさを再発見したという意見をいただいています。
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視覚と聴覚の連動:
音楽の構造が視覚的に表現されるため、見る・触れる・聴く、歌うの各プロセスが連動し、理解が深まります。
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遊んで学ぶ:
音探しや迷路、合奏ゲームなど、ゲーム性を加味したコンテンツでいろんな遊び方が楽しめるようになっています。- 音探しや音迷路、合奏ゲームなど、ゲーム性を加味したコンテンツを提供しています。
- 音楽理論を元にしたコンテンツ設計により、頭で学ぶのではなく、身体で体感できることを目的としています。
- 遊びながら音感エクササイズができ、自然と音楽的能力を育成できます。
- 50種類の楽器音色と192種類の和音を搭載し、子どもから大人まで幅広い音楽表現が可能で、遊びながら音楽の奥深さを学ぶことができます。
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携帯性と使いやすさ:
全長約10cm、重さ約50gのコンパクトなデザインで、どこにでも持ち運べるため、家庭内外問わず、いつでも音楽に親しむことができます。
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子どもだけでなく大人も:
- 子供から大人まで、音楽初心者でも楽しめるデザインになっています。
- J-POPやR&B、ハードロックなど、様々なジャンルの音楽を演奏できます。
ラタトーンは、従来の音楽教育方法に比べ、子どもたちが自発的に「聴く力」を育むための新しいアプローチを提供します。例えば、一般的なピアノやバイオリンの学習では、楽譜の読み取りと演奏技術の習得に多くの時間を要するため、「聴く力」の育成に割く時間を多くは取れない側面があります。
一方、ラタトーンでは、楽譜(ラタノーツ)をタッチすることで即座に音が再生されるので、今、自分が知りたい(聴きたい)音を即座に確認することができます。
また、楽譜を見る(視覚)とタッチして音を聴く(聴覚)が即座に連動するため、音楽の構造を直感的に理解しやすくなっています。お子様一人で操作できるので、子どもが自発的、そして能動的に音を探し、再現する楽しさを体験できる環境が整っています。
実際、お客様からののフィードバックからも、子どもが自分で音を探し出し、再現する楽しさを実感するケースが報告されています。
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パズルのような知育おもちゃや、絵本とは異なった考え方から生まれた聴覚から創造力を育む知育楽器Ratatone®
さいごに
聴く力と人間力
文部科学省が提唱する「人間力」には、知的能力、社会性、自己表現力、自己実現力などが含まれており、これらの能力を構築する上で土台となるのが「聴く力」です。
実際、集中して相手の話を聴くことは、学業成績の向上や対人関係の円滑化に寄与するとの調査結果が存在しており、早期からの聴く力の育成は子どもの将来の成功に大きく影響します。また、感情の理解や共感力の向上は、ストレスの軽減や精神的な安定にもつながり、総合的な人間力の底上げが期待されます。
さらに、現代の情報社会においては、膨大な情報の中から必要な情報を選別し、正しく理解する能力が求められています。聴く力は、そのための基本的なスキルともなり、今後の学習や社会生活において極めて重要な役割を果たすことでしょう。